- Column
テレビデバイスの変革③「進むタイムパフォーマンス主義」
2022.08.08
小島 功(こじま こう)
株式会社AbemaTV ビジネスディベロップメント本部 プロダクトマーケティングスペシャリスト
2003年にサイバーエージェントに入社し「アメブロ」のデザイン制作やマネタイズ業務などに携わる。2016年より「ABEMA」の広告商品開発や価値証明を担当し、2019年より広報業務も兼任。
コネクテッドテレビ(以下CTV)の成長は生活者の動画視聴行動に大きなインパクトをもたらしつつあり、動画マーケティングにおいても押さえておくべき注目の分野です。そこで今回、CTV主要ブランドの1つである「レグザ」と連携し、ログデータによる最新の視聴実態とそこから見える傾向や仮説などを3回にわたってご紹介したいと思います。
まず「地上波(リニア)」と「VOD」と「録画再生」を足した視聴時間の直近4年間の推移をみてみると(図1)、テレビ1台当たりの総視聴時間は1.1倍となっており、拡大傾向にあるようです。
各調査機関によるレポートでは最近でも“テレビ離れ”という言葉が使われているのを目にしますが、このデータを見る限り、CTV上ではそうじゃない可能性があります。
では、視聴時間拡大の要因は何でしょうか?
先ほどの視聴時間の推移をカテゴリ別に分解してみてみると(図2)、「地上波(リニア)」の視聴時間がほぼ横ばいの中、「VOD」の大幅な伸びがテレビ視聴時間の成長を牽引しているというデータが出ています。
つまり、「VOD」という新しい選択肢が増えたことによって、従来の「地上波」視聴にプラスオンでテレビの前に人を定着させつつあることがうかがえます。
それでは、「VOD」の伸びはどの世代が牽引しているのでしょうか?
「VOD」の成長推移を世代別でみてみると(図3)、近い将来に「地上波」を追い抜く勢いで迫っているティーンだけでなく、シニア層も含めた全世代において「VOD」視聴がかなり浸透しているというデータが出ています。
このようにCTVは全世代の視聴行動に影響を与えており、その所有者が加速度的に増えている現状からも、マーケティングにおける“スマホ登場以来の大変革期”がまもなく訪れつつあると考えても大げさではないのではないでしょうか。そのため、普及するCTVが現状どのように視聴されているのかを知っておくことは非常に重要です。
次回は、メディアごとの視聴世代の違いなどを中心にご紹介したいと思います。