- Column
AbemaTVでやってみてわかった②─ 提供クレジットの進化系「オープニングロゴ」ってこんなに高い価値がある(かも)
2020.02.21
小島 功(こじま こう)
株式会社AbemaTV 広告本部 プロダクトマーケティングスペシャリスト
2003年にサイバーエージェントに入社し「アメブロ」のデザイン制作やマネタイズ業務などに携わる。2016年より「AbemaTV」の広告商品開発や価値証明を担当し、2019年より広報業務も兼任。
「AbemaTV」では、一定量のご出稿をいただいた広告主様向けに、一部の人気番組内で「提供クレジット」の掲載を開始しました。テレビ番組の始まりと終わりでよく目にする「この番組はご覧のスポンサーの提供でお送りします(しました)」というものです。
私自身、提供クレジットを目にすることで、「ああ、この番組はこの企業/ブランドがスポンサードしているんだ」という意識を持ってCMに触れる感覚があります。これは仕事柄ですかね、、、(汗) では、一般視聴者に対して“提供スポンサー”として企業名あるいはブランド名を届けること自体に、果たしてプラスの広告価値が何かしらあるのでしょうか?
先日、人気恋愛リアリティーショー「オオカミくんには騙されない♡」において、若年層女性をターゲットにした消費財ブランドのCM配信と提供クレジット掲載案件がありました。CMに接触したユーザーの中には「提供クレジットにも接触した人」と「提供クレジットには接触しなかった人」がいますので、そこでどのような効果の差が出るのか? を中心に検証を行いました。
まず提供クレジットでは企業名を掲出しているのですが、ただCMに接触しただけの人よりも提供クレジットも合わせて接触した人のほうが「企業認知」が向上したほか、企業イメージのスコアにおいても「信頼できる」「勢いがある」といった項目がとても高まっていることがわかりました。「提供クレジット」を見せることは、一種の“お墨付き”のような評価を無意識のうちに視聴者に与える効果があるのかもしれません。
さらに興味深いデータがあります。
今回のメインターゲットである若年層女性(Fティーン+F1)に対し、「『オオカミくんには騙されない♡』に提供するスポンサーについてどう思うか」という質問をしてみたところ、「他の番組で目にする広告より自分向けに感じる」という項目が“ただCMに接触しただけ”の人においてはスコアが低かったのですが、“「提供クレジット」も合わせて接触した”人においては大きくスコアが高まっていることがわかりました。
好きで視聴している番組の中で“提供スポンサー”として目にするということが、「自分の好きな番組をサポートしてくれる企業/ブランド」というイメージを無意識に持たせているのでしょうか。今回の訴求商品に対するブランドイメージにおいても「自分向け」というスコアが飛躍的に高まっていることからも、「提供クレジット」が視聴者の「自分事化」を推進する力を持つ可能性を感じます。
また、「提供クレジット」のクリエイティブについては、提供スポンサー名を紹介した直後に「番組のキービジュアル動画」を一瞬入れ込むことで“この番組のスポンサード感”をより演出したものに仕上げています。そのためか、「若者向け」「流行っている」「ファッション的」「話題になっている」といった恋愛リアリティーショーの番組イメージにも似た項目のスコアが商品イメージにおいても高まっており、番組イメージと提供ブランドイメージとの“シンクロ効果”を作る働きもあるかもしれません。
最後に、今回の案件では、各態度変容指標においても「CMと提供クレジットの両方に接触した人」が広告効果を大きく底上げする結果となりました。
「提供クレジット」には広告効果向上に一役買えるポテンシャルが間違いなく秘められていると感じるとともに、先ほども少し触れましたが、「提供クレジット表示のたった数秒をどのような視聴体験に仕上げるか」といったクリエイティブの工夫次第でさらに大きな役割を担える可能性を感じています。
テレビを含めると歴史の長い「提供クレジット」は、もっとロジカルに科学して言語化する価値があるかもしれない─ 簡単ではなさそうですが、今後も注視していきたいテーマです。
調査機関:株式会社マクロミル
調査対象者:15-69歳女性
調査期間:2019年2月
サンプルサイズ:CM・提供クレジットともに非接触者女性n=340/CM接触かつ提供クレジット非接触者女性n=109/CM接触かつ提供クレジット接触者女性n=100