- Column
若年層のメディアに求める“モラル感”や広告に対する“受容性”にマッチ?─ 金融ブランド事例に見るABEMAとテレビのプレミアムなクロスリーチによる効果
2020.06.01
小島 功(こじま こう)
株式会社AbemaTV ビジネスディベロップメント本部 プロダクトマーケティングスペシャリスト
2003年にサイバーエージェントに入社し「アメブロ」のデザイン制作やマネタイズ業務などに携わる。2016年より「ABEMA」の広告商品開発や価値証明を担当し、2019年より広報業務も兼任。
ソーシャルメディアの台頭以降、フェイクニュースはこれまでもたびたび社会問題化してきたが、新型コロナウイルスや米国議会襲撃事件などにより、より一層の注意が向けられるようになった。根拠のない偽情報が過去にないレベルでネット上に溢れるようになり、ユーザー投稿型メディアを中心に多くの違反動画に対する削除対応が続いているというニュースを目にする。
メディアの情報に対する信頼性が改めて問われる中、そこに表示される広告への影響もいま一度懸念すべきだろう。
メディアの情報に対する信頼性の低下は、広告にどのような悪影響を招くだろうか?
ひとつは、情報に対する懐疑的な姿勢から、広告に対しても受容性が低下することが考えられる。そのような受容性低下の状態がわかりやすくスコアに表れるのは、広告をそもそも見たこと自体覚えているかという“広告認知率”や、広告クリエイティブ内で伝えていたメッセージを覚えているかどうかという“メッセージ認知率”といった指標だ。
その相関性がよくわかる事例がある。デジタルメディアに動画広告を出稿したある飲料ブランドの事例において、そのメディアで流れる情報をそもそも「信頼している広告接触者」と「信頼していない広告接触者」に分けて比べてみたところ、“広告認知率”では約1.8倍、“メッセージ認知率”では2倍以上も前者のほうが高かったのである。
広告が期待される役割を果たすには、まずその広告がユーザーに受け入れられ、そして記憶に残してもらえることが必要であり、“広告認知率”や“メッセージ認知率”はその先の効果を得るための重要な先行指標といえる。ユーザーからの信頼性が低いメディアに広告出稿した場合、そういった重要な先行指標が伸びないリスクがあることを示唆するデータであり、出稿側にとっては懸念すべき問題である。
ちなみに、この事例で広告出稿していたメディアは「ABEMA」と「ユーザー投稿型動画メディア」であったが、各広告接触者によるメディアに対する信頼性評価は「ABEMA」のほうが約1.4倍高かった。そういったメディア間の「信頼性の格差」が広告に対する受容性の差を生んだであろうことを考えれば、“ブランド好意”や“購入意向”といった重要な効果指標にも2倍前後の差がつく結果となったのは必然の結果と言えるだろう。
昨今の社会情勢の大きな変化は、“正確な情報を選別したい”あるいは“大事な情報は信頼できるメディアで得たい”というユーザー意識をより強くさせる機会となった。今回の事例は、そういった意識の先にあるメディアへの「信頼格差」が広告に目に見えて影響したケースと言えるだろう。
今後さらに様々な情報が増えていくと、メディア間のユーザーからの「信頼格差」は今以上に広がる可能性も否定できない。「ABEMA」では引き続きブランドセーフティを保ちながら効果的な広告インプレッションを安定して提供できるよう、これからも信頼できる情報を届け社会の役に立つ存在であり続けるためにより一層努力をしていきたい。
<図1-2>
調査機関:株式会社マクロミル
調査対象者:20-34歳男女
調査期間:2020年5月
サンプルサイズ:ABEMAのみ広告接触者n=188、ユーザー投稿型動画メディアのみ広告接触者n=187