LabABEMAに関するコラムや調査レポート

バラエティだけじゃない!「スポーツ」でも進化を続ける西澤由夏アナの“底力”

バラエティだけじゃない!「スポーツ」でも進化を続ける西澤由夏アナの“底力”

西澤 由夏氏

ABEMAアナウンサー

2016年4月、サイバーエージェントに新卒入社。営業職を経て2018年からアナウンス室に所属。「チャンスの時間」「ABEMA NEWS」「ABEMAスポーツタイム」などを担当中。2023年8月にはフォトエッセイ『ABEMAアナウンサー西澤由夏です』を上梓。

「ABEMA専属アナウンサー」の“1期生”である西澤由夏氏。キー局全落ち、一度は営業職に就くも諦めきれずに副業としてリポーター業や司会業を続けて、約2年後に憧れだったアナウンサーとしての夢を掴み取った。バラエティやニュースなど様々なジャンルをこなす中、2023年以降は担当領域に「スポーツ情報番組の進行」が加わる。きっかけとなったのはスポーツ情報番組『ABEMAスポーツタイム』だ。番組の看板アナウンサーとして、大切にしていることとは何か。西澤氏を深掘りした。

キー局全落ち、営業職を経て念願のアナウンサーに

——まずは現在の仕事に就くまでの経緯を教えてください。

小さい頃からテレビが大好きで、漠然と“アナウンサー”に憧れていました。就職活動ではもちろんテレビ局を受験しましたがキー局は全落ち。その後、「ABEMA」を展開するサイバーエージェントに新卒入社し、週末にラジオのリポーターやイベントの司会などをしながら『アメーバオフィシャルブログ』の営業を担当していました。

2016年に「ABEMA(当時AbemaTV)」が開局し、それに伴いアナウンス室が立ち上がると聞いて、全国の一般公募という形だったのですが、社内にいながらエントリーシートを提出しました。

——現在の担当ジャンルや会社でのミッションを教えてください。

担当ジャンルはバラエティ、スポーツ、ニュース、ボートレースなどです。千鳥さんの『チャンスの時間』やボートレースは、アナウンサーになった当初から長く担当させていただいています。

今期からのミッションは、市場や事業をしっかりと意識した上で、アナウンサーとしてどういったパフォーマンスができるのかを考えながら業務に就くことです。これまではアナウンサーとしてのスキルを身に付けることを成長と捉えていましたが、年次や階級が上がっていく中で、事業における自分のスキルの活かし方など、より事業目線で考えなければいけないと思うようになりました。

——様々なジャンルを担当するためには、必要な知識も膨大だと思います。どのようにインプットされているのですか?

特にスポーツで私がやっているのが、文字起こしです。YouTubeや番組のアーカイブ動画をすべて文字に起こし、資料作りを行うようにしています。特に格闘の現場では、一度に複数の選手の控室に伺ってリポートやインタビューを行うケースが多いので、文字起こしをして選手ごとに資料化することで、各選手の情報を整理しながらインプットするようにしています。また、リポート内容を1から自分で作成したり、予定になかった急なリポートがその場で発生することも多々あるので、そういった時にもこの資料が役に立っています。

また、アナウンサーを始めたばかりの頃、生放送で共演者の名前を間違えて呼び続けてしまい番組終了後にプロデューサーと謝罪に行くという大失態をしたことがあります。

それ以降は、名前などの固有名詞については、明らかに合っていると思っても、絶対に調べるようにしています。共演者の名前はもちろんのこと、告知文言や原稿のルビなども含めて、今までの自分の経験や常識を過信しないようにすることを学びました。

——仕事のやりがいは、どんな時に感じますか?

「番組、観たよ」という声をいただく時です。SNSや直接お会いする方から番組の感想を頂戴する機会が年々増えており、「ABEMA」の認知度が高まっている感覚があります。そんな時に「続けて良かった」「もっと届けたい」と思いますね。

番組は自分から希望して出演できるのではなく、制作サイドから「このアナウンサーにお願いしたい」とオファーをいただき、仕事が決まります。そのため、全ての番組にアサインされた理由があると思っていて、その期待に応えたい思いが強いです。

これまでどんなジャンルでも挑戦してきたので、そのたびに幅が広がるのも嬉しいです。「ABEMA」ならではのジャンルの多さが、自身の強みに繋がっているかもしれません。

『ABEMAスポーツタイム』でスポーツの現場へ

——昨年からは『ABEMAスポーツタイム』で、スポーツ情報番組という新たなジャンルに挑戦されています。番組について教えていただけますか?

毎週日曜日の22時から生放送しているスポーツ情報番組で、影山優佳さん、川﨑宗則さん、槙野智章さんがレギュラー出演されています。

番組の一番の強みは“取材行動力”。取材力だけでなく、取材行動力です。開始からまだ1年と少し(2023年7月2日放送開始)なのですが、短期間でこんなにも多くの選手の皆さんに取材に行かせていただけるとは思っていませんでした。私以外にもディレクターや出演者の方が行くこともあり、海外取材も多く、短期間にたくさんの取材を実現させられるところが番組の魅力であり、強みだと感じています。

また、皆の仲が良く、スタジオの雰囲気が良いことも特長です。特に槙野さんの“現場巻き込み力”が素晴らしく、全員に分け隔てなく声を掛けて、良い空気を作ってくれます。私は仕事だと人見知りなく話せるのですが、プライベートでは大勢の場に入り込むのが苦手なので、槙野さんの立ち振る舞いは初回放送時から勉強になっています。

——槙野さんとはCMでも共演されていますね。

はい。槙野さんと私でインフォマーシャルCMをやらせていただきました。『ABEMAスポーツタイム』内で流れた際には、番組視聴の方がSNSで触れてくれるなど反応の良さを感じました。熱狂的なスポーツファンだけでなく、出演者を目当てに見てくださる方も一定数いると思うので、番組の続きのような感覚で喜んでいただいたのではないでしょうか。

いつかは視聴者も巻き込んで、公開生放送やリアルイベントをやってみたいです。試合を一緒に見るパブリックビューイングをして、その前後でトークショーなどができたら盛り上がりそうですよね。

——スポーツ情報番組を担当する上で、大切にしていることがあれば教えてください。

スポーツに限らずですが、「流れを止めないこと」「軸を戻すこと」を意識しています。いずれも構成理解が重要になってくると思うので、台本をあえて準備稿段階から頂くようにしています。そうすることで、テンポが速い収録の中で自分のターンで流れを止めずに進行できますし、流れを深くインプットすることで大きく脱線したとしてもすぐに戻すことができます。また、最終稿までに削られた部分・追加された部分の把握もできるので、そういった観点からも制作陣の意図を理解した上で臨むよう心掛けています。

現場リポートでは、目の前で起こっていること、選手の言葉を慎重に伝えることに気を付けています。伝え方によって、選手の意図とは異なる伝わり方になってしまう可能性があるためです。どの場面をどのようにピックアップして伝えるのか、見えている状況をそのまま伝えるのか、もしくは少し言葉を変えて別の表現で伝えた方が良いのかを、選手や視聴者目線で考えています。

また、選手にインタビューする時は、サポーターやファンの皆さんの立場に立って、何が知りたいか何が聞きたいかを意識して質問に取り入れるようにしています。

——選手の素顔を引き出すコツや工夫を教えてください。

サイレントリアクションを多く取り入れるように意識しています。インタビューに私の声が入ってしまうと使えなくなるので無言ではありますが、気持ちよく話せるような空気感はインタビュアーしか作れないと思っているので、空気作りの一環として取り入れています。

以前、共演者の影山さんに「聞き上手で、話しやすい」と言っていただき、そういった“リアクション力”が身に付いてきたおかげなのかなと感じました。

——印象的なインタビューを教えてください。

衝撃的だったのは、なでしこジャパンの長谷川唯選手に昨シーズンを振り返っていただいた時の「100%でプレーできたことって絶対ないし、これからも絶対ない」という言葉です。「ミスすることもあるし、こうすれば良かったと思うシーンも90分もあれば1回はある。100%自分の理想通りのプレーができることはこれから先もないと思う」と。

あれほど活躍されている方が言うので驚きましたが、100%でないことを受け入れられるからこそ、慢心せずに自分のパフォーマンスを磨いていくことができるのだと自身に落とし込めた言葉でした。

スポーツの熱狂を伝えるプロフェッショナルに

——スポーツ情報番組に携わって2年目、スポーツの魅力をどう捉えていますか?

仕事だけでなく、プライベートでもスポーツ観戦をするのですが、気が付いたら隣の知らない方とハイタッチをして盛り上がったりして…。その瞬間だけ、知らない人同士が繋がる。それが非日常的であり、スポーツ特有の魅力だと再認識しました。

現地に行けなくても、今は中継を観ながらSNSで世界中の人と繋がることもできますし、ワクワクする時間を共有できることは素敵だと思います。そういったスポーツの魅力をもっと伝えたいていきたいですね。

——今後の目標やチャレンジしたいことを教えてください。

『ABEMAスポーツタイム』の放送に合わせて、視聴が習慣化される番組にしていけたら良いなと個人的に思っています。そしてスポーツコンテンツの性質上、リアルタイムで観てくださる方を増やしていきたいです。

Page Top