- Case Study
キリンビバレッジ株式会社
人気番組への協賛と大型企画により、ティーン層の購入を喚起
2019.10.16
小島 功(こじま こう)
株式会社AbemaTV 広告本部 プロダクトマーケティングスペシャリスト
2003年にサイバーエージェントに入社し「アメブロ」のデザイン制作やマネタイズ業務などに携わる。2016年より「AbemaTV」の広告商品開発や価値証明を担当し、2019年より広報業務も兼任。
「AbemaTV」では、次のクールで一定金額以上のCM配信をご出稿いただいた広告主様を対象に「番組プレミアムサポートパッケージ」というサービスを提供しています。
以前の記事でご紹介した“社名読み上げの無い”通常の「提供クレジット」のほか、中でもご出稿金額の高い「GOLD」協賛の広告主様に対しては、「AbemaTV」の若年層向け人気番組の冒頭で「オープニングロゴ」と呼ばれる“社名読み上げ付き”の提供クレジット(ご出稿金額に応じて決められた番組の中から1番組1社まで選定可能。)を無償で掲載するサービスを行っています。
[図1]の通り、いずれの映像も「AbemaTV」のキャラクターを使った高い親和性と視認性が特長で、“映像”に対する記憶はそれぞれ非常に高くなっています。
とりわけ「オープニングロゴ」については、以下3点で大きく差別化されており、[図2]のデータにあるような“掲載スポンサー名も含めた”記憶の刷り込み力の強さが特長です。
- “視覚”だけでなく“聴覚”にも訴えるクリエイティブ
- 映像内で“1社のみ”の掲載
- “リニア”だけでなく“ビデオ”でも繰り返しリーチ
それでは、「オープニングロゴ」の広告効果は実際にどの程度のものなのでしょうか?
若年層向け番組を指定したCM配信と並行して、人気恋愛リアリティーショー『恋愛ドラマな恋がしたい』での「オープニングロゴ」掲載が展開された化粧品会社の「アイシャドー」と「マスカラ」の2つのブランド事例にてご紹介したいと思います。
まず、[CMのみ接触]と[CM+オープニングロゴ接触]の態度変容リフト値を比較した[図3]のグラフをご覧ください。
両ブランドともに、「オープニングロゴ」の接触がリフト値を大きく向上させていることがわかります。
さらに効果を深く分析してみましょう。
本事例の検証を進めるにあたり、番組と連動して長期にわたり繰り返し視覚・聴覚を刺激する「オープニングロゴ」のようなリーチ手法は、現時点ではまだユーザーの関心が薄い商材やブランドにおいても“いずれ来るかもしれないニーズ発生時に選ばれやすくなるようにする”ような効果があるのではないか? という仮説を持っていました。
なぜなら、自分で商品を決めるニーズも経済力もまだあまりない10代の頃にテレビで繰り返し見ていた「この番組は○○○の提供でお送りします(しました)」という表記が、“手で書いて覚える”、“声を出して覚える”と似たような自然な形で自分に刷り込まれ、のちの最初の自分主体でのブランド選択時に少なからず影響をもたらされた、という実体験からの感覚値があったからです。
ちなみに、今回の事例でご紹介している「アイシャドー」や「マスカラ」といった商材カテゴリは、[図4]のとおり若年層女性の間では低関与者も多く、“エントリー層獲得”の余地が含まれている商材です。
そこで、先ほどの[CMのみ接触]と[CM+オープニングロゴ接触]の態度変容リフト値比較を、低関与者に絞った場合にどういった数値になるのかを算出しグラフ化してみました([図5])。
面白いのは、「マスカラ」ブランドにおいてはいくつかの指標で[広告非接触]に比べて[CMのみ接触]がやや下がってしまっているのに対し、[CM+オープニングロゴ接触]はその凹みを取り返すようなリフトが見られるということです。
もちろんCMのみでも低関心者を動かせた案件は多数あるのでクリエイティブ次第で状況は異なりますが、CMのみでは低関心者を動かせない部分のあった本案件においては、そこに「オープニングロゴ」の力が加わったことで彼らを動かせている─ つまり、“低関心者への記憶の刷り込み”や“エントリー層獲得”を推進するかもしれない、という仮説の一端を証明するものとして非常に興味深い結果です。
冒頭でご説明した通り、「オープニングロゴ」は次のクールで一定金額以上のCM配信をご出稿いただいた広告主様を対象に“無償”で掲載するサービスです。これまでの検証を踏まえ、「オープニングロゴ」というサービスが通常のCM配信のみに対してどれくらいの態度変容者創出の“コスト効率アップ”をもたらしたのか? を検証してみましょう。
まず、今回の「アイシャドー」ブランドと「マスカラ」ブランドのCM配信でリーチできた各ユーザーのうちそれぞれ約3分の1が「オープニングロゴ」にも接触していることが弊社のログデータから分かっています。それをもとに、態度変容者数をシミュレーションしてみました。
[図6]からわかるとおり、CM接触者の3分の1を占める[CM+オープニングロゴ接触]のユーザーのスコアが大きくリフトアップしていることから、全数で2.0倍、低関与層に絞っても1.6倍の“コスト効率アップ”を実現できたという結果になりました。「オープニングロゴ」が無償で加わることが、CM出稿効果のコスト効率を大きく引き上げる役割を果たしていると言えるでしょう。
参考データになりますが、「AbemaTV」は「センスがいい」「トレンド感がある」といった評価を若年層女性から高く受けているメディアです。
そして、今回の「アイシャドー」ブランドと「マスカラ」ブランドに対するイメージ変化についても、「流行っている」などの評価が[CM+オープニングロゴ接触]のユーザーにおいて大きくリフトしています。若年層に人気のある番組と連動した「オープニングロゴ」という取り組みは、「AbemaTV」に対するイメージを掲載ブランドにもそのまま与える可能性を示唆しているデータだと言えます。
いかがでしたでしょうか?
新規エントリーやブランドスイッチの獲得をするために、ユーザーの“世代・ニーズの変化”を捉える網を定常的に張っておくことはマーケティング上において非常に重要です。今回ご紹介した「オープニングロゴ」はその役割の一端を果たす中長期的なソリューションとしての価値を秘めています。
出稿金額という条件はありますが、「オープニングロゴ」の掲載条件となる「GOLD」協賛をぜひご検討いただければと思います。細かいプラン内容については営業窓口までお問い合わせください。
調査機関:株式会社マクロミル
調査対象者:15-34歳女性
調査期間:2019年9月
サンプルサイズ:[アイシャドーブランド] 非接触者n=667、CMのみ接触者n=245、CM+オープニングロゴ接触者n=192 [マスカラブランド] 非接触者n=704、CMのみ接触者n=208、CM+オープニングロゴ接触者n=191