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広告で人を動かすためにはどのようにメディアを選定すべきか─ トイレタリーブランドによる複数メディア出稿事例からみた考察

広告で人を動かすためにはどのようにメディアを選定すべきか─ トイレタリーブランドによる複数メディア出稿事例からみた考察
小島 功(こじま こう)

小島 功(こじま こう)

株式会社AbemaTV 広告本部 プロダクトマーケティングスペシャリスト

2003年にサイバーエージェントに入社し「アメブロ」のデザイン制作やマネタイズ業務などに携わる。2016年より「AbemaTV」の広告商品開発や価値証明を担当し、2019年より広報業務も兼任。

日本のインターネット動画広告市場は2020年に3,000億円に達するという予測もあるなど、引き続き目覚ましい成長を続けています。それに伴ってメディアや広告メニューが多様化し、それぞれの特性や強み弱みを理解した上でブランドの状況に応じたプランニングが求められており、その精度を上げるためにはPDCAが欠かせません。

本記事では、「AbemaTV」を含む複数のインターネットメディアへの同時出稿案件の調査結果からみたメディア間での効果の差と、そこから感じたことや考察をご紹介したいと思います。日頃からデジタルマーケティングにおいて仮説~検証~考察を繰り返されている方にとって何かの参考になれば幸いです。

 

女性向けトイレタリーブランドでの購買検証

今回ご紹介するのは女性向けトイレタリーブランドの事例です。競合ブランド間における“購入シェアの獲得”が最終的な目的であり、「AbemaTV」のほか、CGM型動画メディアSNSメディアに同時出稿していました。今回のプロモーションでは、「“購入シェアの獲得”には“商品特長の理解”が重要な中間指標になる」という仮説のもと、機能性を伝えることに特化したインターネット向けのオリジナルCMがテレビCMとは別に制作されました。なお、配信メディアによってクリエイティブや尺は多少異なるものの、訴求内容や訴求シーンはいずれも同じものが展開されました。

広告接触メディア別に“購入率シェアの変化”を比較したのが[図1]です。CGM型動画メディアについては、15秒以上の通常~長尺CMのほか、インターネット動画広告の特徴的なフォーマットである6秒の短尺CM配信も実施されているため、2つを分けて算出しています。

 

 

ご覧のとおり、「AbemaTV」の広告接触者は、広告配信前後における訴求ブランドの“購入率シェア”のアップ率が最も高くなっており、その次にCGM型動画メディアの6秒の短尺CMが続いています。一方で、同じCGM型動画メディアにもかかわらず、通常~長尺CMにおいてはシェアに増加傾向が見られていないのは興味深い結果です。

続いて、広告配信前後の“購入率の変化”において、[①リピート顧客][②離脱顧客(=一度購入したがその後購入無し)][③新規顧客]の内訳を表したのが[図2]です。

 

 

ご覧のとおり、「AbemaTV」の広告接触はもっとも顧客の離脱を防ぎつつ新規の購入者を増やすことができており、その次にCGM型動画メディアの6秒の短尺CMが続いています。一方で、CGM型動画メディアの通常~長尺CMは、顧客の離脱は少ないものの、新規購入者が見られない結果となりました。

 

人を動かすための“中間指標”と“最適な広告メニュー”の見極め

冒頭でお伝えしたとおり、“購入シェア獲得”に影響をもたらす中間指標として仮説立てしていたのが“商品特長の理解”であり、両者の相関性を検証することは重要な作業です。今回のオリジナルクリエイティブでは主に“サイズ”と“効果持続性”の2つの特長を訴求内容としていたため、その2点に関する理解度調査を行いました。

 

 

[図3]でわかることは、[図1]“購入率シェア”が上がっていた「AbemaTV」CGM型動画メディアの短尺CM“商品特長の理解”においてもしっかりとリフトアップが見られ、一方で、SNSメディアCGM型動画メディアの通常~長尺CMについては[図1][図3]のいずれにおいてもあまり芳しくない値となっている─ つまり“商品特長の理解”“購入率シェアの獲得”との間に相関性が見られるということです。

今回のトイレタリー商材のように“機能性”が購買判断の基準の大きな1つになるような商材は特に、“商品特長を知ってもらえたかどうか?”が重要な中間指標の1つであることを改めて感じると同時に、掲載メディアや広告メニューごとに異なる特性や強み弱みを理解しつつ、ブランドごとのPDCAによって培った知見をもとにそれらを使い分ける必要性を示唆していると感じます。

「AbemaTV」の動画広告はインストリーム型で視認性が高く、かつ、コンテンツ視聴体験に水を差さないよう配慮された広告設計により長尺であっても視聴完了率が非常に高いため、今回の“特長理解”をはじめとしてミッドファネルを高める役割を果たしやすいことは過去の記事でもお伝えしてきました。

一方、6秒の短尺動画というフォーマットはあまりに尺が短く情緒的な訴求はなかなか難しいながらも、今回の“商品特長の理解”のように伝えたいことだけを簡潔かつ印象的に伝える目的において有用性が見られたことは、本トイレタリーブランドの今後のプランニング改善に向けた1つの発見と言えるのかもしれません。

 

メディア・メニュー選定において“品質”という変数に価値はあるのか

参考として、“購入率シェアの変化” ([図1]) “購入率の変化とリピート/離脱/新規の内訳” ([図2]) の2つのグラフにおける「AbemaTV」の数値を、“メディアやコンテンツの品質に対する評価”と掛け合わせ分析したものが[図4]になります。

 

 

ご覧のとおり、“メディア品質”に対して何かしら評価している人のほうが全体に比べて効果の値が高くなっており、両者に相関性を感じます。

これまでの検証でお伝えしたような、『同じメディアなのに尺によって効果に大差が出ている』あるいは『同じ尺なのに掲載メディアによって効果に大差が出ている』という結果を踏まえても、“メディア品質”を軸にしたユーザーとの信頼関係づくりは、そこで展開される広告フォーマットや尺に対するユーザーの許容度に少なからず影響を与えていると考えられます。広告で人を動かしたい際のメディアやメニュー選定において、“品質”は実は重要な変数なのかもしれません。

 

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回のようなシンプルな検証サイクルを続けるだけでも、何かしらの気づきを得ることができ、メディアを横断したプランニングの精度は一歩ずつ確実にアップしていくと考えます。今回ご紹介したのは女性向けトイレタリーブランドに関する検証と考察でしたが、ブランドの業種やステータス、課題などによって考察方法や見極めるべきポイントが異なってくると思いますので、他に参考にしていただけるような事例があればまたこちらでご紹介したいと思います。

 

 

調査機関:株式会社インテージ
調査対象者:15-49歳女性
調査期間:2019年12月
サンプルサイズ:広告非接触者(≒一般市況)n=3,163、「AbemaTV」の15秒以上CMのみ接触者n=126、「CGM型動画メディア」の15秒以上CMのみ接触者n=86、「CGM型動画メディア」の6秒CMのみ接触者n=97、「SNSメディア」の15秒CMのみ接触者n=138、左記4つの全パターンに接触者n=528

 

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