- Case Study
サントリーコミュニケーションズ株式会社
イベントに絡めたオフライン・オンラインのトータルプロモーションを実施し高い効果を実現
2019.09.10
小島 功(こじま こう)
株式会社AbemaTV 広告本部 プロダクトマーケティングスペシャリスト
2003年にサイバーエージェントに入社し「アメブロ」のデザイン制作やマネタイズ業務などに携わる。2016年より「AbemaTV」の広告商品開発や価値証明を担当し、2019年より広報業務も兼任。
マーケターの皆さんがテレビCMへの予算投下を前提にその他の出稿媒体を検討する際、「テレビで届きにくい若年層へのリーチと効果を補完するためにインターネットメディアをどうアロケーションするべきか?」という悩みが発生する場面があるのではないでしょうか。
本記事では、テレビCMへの大量予算投下に加えて「AbemaTV」を含む複数のインターネットメディアに同時出稿を行った案件の調査結果から、メディア間の効果差とそこから感じたことや考察を紹介したいと思います。日頃からインターネットメディアのアロケーションに悩まれている方にとって何かの参考になれば幸いです。
ご紹介するのは、一般用の医薬品ブランドの事例です。幅広い層をターゲットとしており、テレビCMを中心に定常的に広告出稿を行っているため、すでにブランド認知は浸透している状況です。今回のプロモーションでは、1か月半の間にテレビCMに約2,400GRPを投下。さらに若年層へのリーチ補完を目的として「AbemaTV」とCGM型動画メディアの2つにほぼ同金額の広告出稿を行いました。
なお、クリエイティブについては、「AbemaTV」とCGM型動画メディアともにタレントをメインとしたテレビCMと同一の素材にて展開されました。
まず、MF1層において、テレビCM単体のリーチに対し、他メディアが補完するリーチ(=インクリメンタルリーチ)を示したのが[図1]です。
[図1]のとおり、MF1層においては「AbemaTV」では+1.7%のインクリメンタルリーチを獲得しているのに対し、CGM型動画メディアでは+4.7%獲得できていることがわかります。
次に態度変容のリフトアップ値を比較したのが[図2]です。
新規リーチ数を示すインクリメンタルリーチではCGM型動画メディアが上回っていたのに対して、態度変容のリフトアップ値については「AbemaTV」での広告接触者のほうが各指標で上回る結果となりました。グラフは相対値で表していますが、実際のパーセンテージで言うと、「AbemaTV」での広告接触者は広告非接触と比べて軒並み5%を超えるリフト値を獲得していました。
さらに、新規リーチ数に態度変容の各リフトアップ値を掛け合わせ、“態度変容したユーザー数”を算出したのが次の[図3]です。
[図3]のとおり、“態度変容したユーザー数”については、多くの指標で「AbemaTV」での広告接触者のほうが上回っています。同規模の出稿額だった中で、新規リーチ効率はCGM型動画メディアより下回るものの、ユーザーの態度変容を起こすためのコスト効率は、「AbemaTV」のほうが上回る結果となりました。
以前、テレビと「AbemaTV」との最適アロケーションに関する分析記事でもお伝えしましたが、単純な新規リーチ数やブランドリフト値が“上がった/下がった”を見るだけでなく、“効率が上がったのか/それはどのくらい上がったのか”という点まできちんと見ることは、メディア選定における判断軸を目的に応じて適切に持てることにつながります。
「AbemaTV」とCGM型動画メディアの間にこのような態度変容のリフトアップ値の違いが出るのには、どういった理由が考えられるでしょうか? それを示唆するデータとして、各メディアのコンテンツ品質に対してのユーザー評価を表した[図4]をご覧ください。
過去のコラムでも何度かお伝えしていますが、「AbemaTV」ではブランドセーフティの観点からユーザーが安心してコンテンツを楽しめる品質の高いメディア作りを行っており、ユーザーのアンケート結果からも「AbemaTV」はCGM型動画メディアと比較して“情報の信頼性”や“法律順守への安心感”などを中心に品質に対する評価が高いことがわかります。
そして、そういった品質に対する評価と広告効果との相関性がわかるデータが[図5]です。
[図5]のとおり、「AbemaTV」のコンテンツ品質に対して何らかの好評価をしているユーザーのほうが態度変容の値が高い結果となりました。今回の案件に限らず、他案件でも同様の傾向が見られていることから、コンテンツ品質に対する評価は、そのメディアで接触する広告の効果にも影響を与えていることが考えられます。広告で人を動かしたい際のメディアやメニュー選定において、メディアの“品質”も重要な変数なのかもしれません。
テレビ補完をするためのインターネットメディアの選定や予算配分は、細かい仮説立てや分析をすればするほどブランドが抱える課題に対して最適な答えに近づくことが可能です。例えば、今回のような分析をさらに顕在層と潜在層とに分けて分析することで、ユーザーのブランド関与度ごとに適正な指標が何なのか? その指標において効率的に効果を上げる施策はどのようなものが良いのか? といった、さまざまな発見をすることにつながります。
ブランドの業種や課題などによっても仮説が異なるかと思いますので、参考にしていただけるような事例があればまたここでご紹介したいと思います。
調査機関:CCCマーケティング株式会社
調査対象者:20歳以上男女
調査期間:2019年12月
サンプルサイズ:広告非接触者(テレビも含めて)n=107、「CGM型動画メディア」広告接触者n=312、「AbemaTV」広告接触者n=91