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【後編】“特定の分野に熱狂”する人たちを一斉に集めたらどうなる? 同時視聴メディアだからこそ作れる「“共”熱狂」マーケティングの可能性

【後編】“特定の分野に熱狂”する人たちを一斉に集めたらどうなる? 同時視聴メディアだからこそ作れる「“共”熱狂」マーケティングの可能性
小島 功(こじま こう)

小島 功(こじま こう)

株式会社AbemaTV 広告本部 プロダクトマーケティングスペシャリスト

2003年にサイバーエージェントに入社し「アメブロ」のデザイン制作やマネタイズ業務などに携わる。2016年より「AbemaTV」の広告商品開発や価値証明を担当し、2019年より広報業務も兼任。

【前編】では、マスメディアやオーディエンスターゲティングでは捉えにくい“特定のオタク層”が一斉に集合し瞬間風速的に「“共”熱狂」するような番組を作ることの広告価値を紐解くべく、「夢女子」と呼ばれるオタク女子分類の1つをターゲットに据え、彼女たちを集めるために“2.5次元の王子様”の異名を持つ俳優・黒羽麻璃央さんをキャスティングしたことをご説明しました。

続いて、そんな黒羽さんのキャスティングにより多数の「夢女子」視聴者が集まった番組は“広告を配信する場”としてどういう価値を持っていたのか? について考察していきたいと思います。

“共”熱狂づくりの先に生まれる「当事者意識」

まず番組の内容ですが、『イケてるヤツならアソバナイト』というタイトルのもと、黒羽さんが芸能人ゲストと鬼ごっこやストラックアウト、3on3などで本気の勝負を繰り広げるという構成をメインにしたほか、視聴者の“熱量の吐き出し口”として番組放送時間内のTwitter連携コメント投稿を条件にした番組内使用アイテムのプレゼントキャンペーンも展開しました。

 

“本気の勝負”に構成の軸を置いたのは、「夢女子」の嗜好性を踏まえ、黒羽さんの素顔がより垣間見える内容にしたほうが視聴者の熱量を高められるのではないか? と考えたからです。そのような構成にしたことと、プレゼントキャンペーンの後押しもあって、AbemaTVのコメント欄には1時間の放送内で19,000を超える数がリアルタイムに投稿されました。

 

 

今回注目したいのは「ただコメント数が多く盛り上がった」ということではなく、これだけの数のコメントが投稿される番組というのは、視聴者側の「同じ趣味嗜好の人と一緒に視聴している」という「“共”視聴」意識が強く醸成されやすい空間になるということです。

 

 

 

実はその「同じ趣味嗜好の人と一緒に視聴している」という「“共”視聴」意識の醸成は、番組価値を高める重要なポイントになっています。

以下の調査結果からわかるとおり、その「“共”視聴」意識が醸成されることで、コンテンツへの熱狂度を高めるのはもちろん、仮に黒羽さんによる「インフォマーシャル」を番組内で実施した場合には、その内容に対しての「当事者意識」まで高める傾向も見てとれ、広告を展開したら良い効果をもたらす可能性が高いことをうかがわせます。

 

 

 

また、以下の通り、黒羽さんの“ファン同士”による商品・サービス推奨に対しても「当事者意識」を持ちやすいというデータもあります。

 

 

 

これらのデータからも、もし黒羽さんによる「インフォマーシャル」が番組内で展開されたら、

  • 訴求商材に対する視聴者の関心・推奨コメントが瞬間風速かつ大量に発生し、

  • それを見たファンの間での「“共”視聴」意識の醸成も手伝って、

  • 訴求商材に対する高い「当事者意識」が広がっていく─

こんな好循環のサイクルが発生するのではないか?と期待してしまいます。

 

女性商材の消費も活発

ちなみに「夢女子」の消費特性も調査したのですが、「美容」や「ファッション」といった女性らしい商材も含め、一般女性に比べて消費力が高い傾向が見てとれます。

 

 

 

この『イケてるヤツならアソバナイト』は月1回のペースで8月まで放送が続くのですが、7~8月放送分については「インフォマーシャル」を入れ込むことができますので(本記事投稿日時点)、本記事のデータを参考にしていただきもしご興味を持たれた女性向けブランド様がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社担当までお気軽にお問い合わせいただければと思います。

 

「特定の分野に熱狂する人たちを狙う」マーケティングの可能性

ニーズが多様化する現代のブランドマーケティングにおいては、自分たちには無関係だと思っているがニーズに気づかせることで自分事化してくれる可能性のあるターゲットを仮説立てし、マスとは別に、それぞれで適切なコミュニケーションを取ることの重要性がよく言われます。

今回ご紹介したのは「夢女子」と呼ばれるオタク女子分類の例でしたが、ブランドごとに適切にターゲットを仮説立てし、彼らに対して「当事者意識」を持たせるようなコンテンツを作り、その中で適切な文脈でコミュニケーションを取るというやり方は、ニーズに気づかせる方法としては有効です。そしてそこに、今回のような「“共”熱狂」が生まれるような工夫が盛り込まれていると、その勝率も高まるのではないかと思っています。

 

もし「ある特定の分野に熱狂する人たち」に対してブランド浸透がうまくいったとなれば、SNSを中心とした強いつながりで日本全国の「同じ分野に熱狂する人たち」に波及し、さらにそれがニュースネタとしてメディアに取り上げられたりする可能性も決してゼロではありません。そんなシナリオをみなさまに提供できるようにするためにも、コミュニケーション設計にさらに磨きをかけたオリジナル番組の制作は今後もチャレンジしていきたいです。

もしご興味があれば、特定のオタク分類における「利用率No.1ブランド」を一緒に狙ってみませんか?

 

 

調査機関:株式会社マクロミル
調査対象者:20-49歳女性
調査期間:2019年4月
サンプルサイズ:非番組視聴者n=93、番組視聴者n=274

 

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