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テレビとAbemaTVの最適なアロケーションは? “効率”を判断軸に据えた効果シミュレーション事例①

テレビとAbemaTVの最適なアロケーションは? “効率”を判断軸に据えた効果シミュレーション事例①
小島 功(こじま こう)

小島 功(こじま こう)

株式会社AbemaTV 広告本部 プロダクトマーケティングスペシャリスト

2003年にサイバーエージェントに入社し「アメブロ」のデザイン制作やマネタイズ業務などに携わる。2016年より「AbemaTV」の広告商品開発や価値証明を担当し、2019年より広報業務も兼任。

「AbemaTV」にご出稿いただくケースで多いのは、若年層をターゲットにしたブランドにおいてテレビと組み合わせることで効果の相互補完を狙ったものです。そのため、「テレビとどういう補完性があるのか?」といったご質問をいただくことも大変多く、今回はその参考になるような事例をご紹介したいと思います。

テレビに約1,500GRPの大量予算を投下していたMF1層ターゲットのブランドにおいて、「AbemaTV」にも800万円を追加で投資していただき、テレビCMと同じ素材にてMF1層へのターゲティング配信を実施したケースがありました。もし、テレビに投下した約1,500GRPの予算の中から800万円を「AbemaTV」にアロケーションしていたらどうなっていたのでしょうか?それぞれの効果・効率をシミュレーションし、比較してみました。

 

テレビでの接触効率を高める“「AbemaTV」での1接触”

まず本事例のリーチの伸びについて図式化したのが以下です。

 

 

テレビにおいて最後の800万円相当分のGRPで獲得したMF1層の新規リーチは14.7万人だったことがわかっています。それに対し、「AbemaTV」にご出稿いただいた800万円のMF1層のターゲティング配信では、テレビの接触者を除いたMF1層の新規リーチを17.6万人獲得できており、テレビに大量出稿している案件においてはテレビだけでなく「AbemaTV」にもアロケーションした方がMF1層の新規リーチ数が伸びるということがわかります。

また、[新規リーチ]を伸ばすことに高い価値があることにもちろん変わりはないのですが、[テレビとAbemaTVとのクロスリーチ]を作ることにも非常に高い価値が含まれていることがわかるデータがあります。今回の案件のブランドリフト効果をフリークエンシー回数ごとにブレイクダウンし、[テレビのみリーチ][テレビとAbemaTVのクロスリーチ]とを比較してみたのが次のグラフです。

 

 

ご覧のとおり、テレビのみでフリークエンシーを重ねるよりも、そこに「AbemaTV」の接触を1回混ぜながらテレビのフリークエンシーを重ねたほうがリフトアップ値が伸びる傾向が出ています。つまり、[テレビとAbemaTVとのクロスリーチ]を作ることは“テレビで重ねるフリークエンシーによる効果の効率を高める”という価値を秘めていることがお分かりいただけるかと思います。

 

態度変容ユーザーの創出数で“効果の効率”を比較

それでは、態度変容ユーザーの新規創出数という観点で見ると、800万円の予算の使い方によって果たしてどの程度の差が生まれたのでしょうか?まず、接触パターン別のリフトアップ値を比較してみたのが以下の図です。

ちなみに、[テレビとAbemaTVの両方接触者]については[テレビのみ接触者]のラインからさらにどれくらいリフトアップしているか?を評価対象にすることで、テレビと「AbemaTV」とのクロスリーチの本質価値を計るようにしています。

 

 

全ての指標において、[テレビとAbemaTVの両方接触者]が最も高くリフトアップしています。また、[AbemaTVのみ接触者][テレビとAbemaTVの両方接触者]は、よりアクションに近い指標ほど高くなっていることが分かります。この結果によって、テレビだけでなく「AbemaTV」にもアロケーションすることで加わる新たなリーチパターンが効果の向上に寄与しているといえます。

さらに、冒頭に掲載したリーチパターンごとのリーチ数に先ほどの各リフトアップ値を掛け合わせることで、800万円の使い方による“態度変容ユーザーの新規創出数”の差を算出することができます。

 

 

上記の図のとおり、テレビに出稿後800万円を追加出稿した場合と、その800万円分を「AbemaTV」にアロケーションした場合の態度変容ユーザーの数を比較すると、最大で8倍もの差が見られました。このことから、テレビへ大量出稿する際は、「AbemaTV」にもアロケーションすることで、効果に対するコスト効率が良くなるといえます。

このように、単純にリーチ数やブランドリフト値が“上がった/下がった”だけでなく、“効率が上がったのか/それはどのくらい上がったのか”まで推計することで、テレビに出稿する際に「AbemaTV」にアロケーションするだけの価値が本当にあるのか?配分目安はどのくらいが良いのか?というおおまかな判断を定量的に行うことが可能になります。

 

少ないGRPでも“効果の効率”の向上は作れるのか?

この案件の場合、テレビで1,300GRPを超えた時点で「AbemaTV」へアロケーションした場合に効果の効率がアップするという予測ができましたが、果たしてどれくらいのGRP規模から効果の効率アップが作れたのか? を考察してみましょう。ここでは、出稿量が1300GRPより少ないGRP数における「AbemaTV」へのアロケーションによる効果を細かくシミュレーションしてみました。

すると、仮に本案件のテレビ投資規模が550GRP程度だった場合でも、そのうちの800万円を「AbemaTV」にアロケーションすることにより、リーチ数の増加量ではやや劣るものの、いくつかの態度変容指標で効率のアップが実現できていた可能性があることがわかりました。

 

 

最後に

いかがでしたか?

テレビと「AbemaTV」とを最適にアロケーションするためのシミュレーションイメージはお持ちいただけたかと思います。

もちろん、“効果の効率向上”を実現するための最適なアロケーションは各ブランド様のテレビへの出稿状況や重視するKPIごとに異なるかと思いますので、個別にシミュレーション算出のお手伝いをさせていただけたらと思っています。

テレビとデジタルメディアによる相互補完は今や当たり前であり、“どうすれば効率よく相互補完できるのか?”というのは恒常的な課題です。計測対象者が減ってしまうため今回ほどのブレイクダウンはできないのですが、テレビと「AbemaTV」の各接触による“検索ログ”を含めたユーザーアクションの差がどの程度あったのか? という計測データもありますので、参考事例として近いうちにまたこのコラムでご紹介したいと思います。

↓“検索ログ”を含めたユーザーアクションの差を検証した②に続きます。

テレビとAbemaTVの最適なアロケーションは? “効率”を判断軸に据えた効果シミュレーション事例②

 

調査機関:株式会社マクロミル
調査対象者:20-34歳男女
調査期間:2019年7月
サンプルサイズ:非接触者n=89、テレビのみ接触者n=181、AbemaTVのみ接触者n=63、両方接触者n=124

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