- Column
AbemaTVの番組指定配信が作る“ブランドと番組イメージとのシンクロ効果”とは?
2019.03.28
小島 功(こじま こう)
株式会社AbemaTV 広告本部 プロダクトマーケティングスペシャリスト
2003年にサイバーエージェントに入社し「アメブロ」のデザイン制作やマネタイズ業務などに携わる。2016年より「AbemaTV」の広告商品開発や価値証明を担当し、2019年より広報業務も兼任。
「AbemaTV」で多くの女性視聴者を抱える代表的な番組と言えば『7.2 新しい別の窓』があります。出演者の3人が毎回豪華ゲストを迎えてさまざまな企画やライブを行う月1回のレギュラー生放送番組で、「AbemaTV」内のコメント機能での盛り上がりのほか、Twitterトレンドでも何度も上位にランクインするなど、多くの反響がリアルタイムで寄せられ熱狂的な視聴体験が生まれています。
『7.2 新しい別の窓』を指定したCM配信も非常に好評ですが、この番組で広告を掲載することがどのような広告価値を持つのかを改めて調査してみました。
まずこの番組の熱量を高める要因として、出演者3人の圧倒的な存在の大きさがあるということに疑う余地はありません。改めてその3人と視聴者との関係を可視化してみると、タレントとファンという言葉では軽々しく置き換えられないと感じるほど密接で強固なものであることがわかります。
[図1]のとおり、『7.2 新しい別の窓』の視聴者は10~20年以上の長きにわたって3人の“人柄”や“生き方”を応援してきたコアファンであり、その信頼関係は購買行動に対しても非常に強い影響を与えていることがわかります。また、その信頼関係はファン同士にも見られ、表面的なつながりではなく価値観が共有された1つの強いコミュニティの存在をそこに感じます。
それでは、そのような強固な関係性を出演者に感じている視聴者にとって『7.2 新しい別の窓』という場所はどのような場所なのでしょうか? まず、『7.2 新しい別の窓』がどのくらい消費者への影響力を持った番組なのかを示すデータをご覧ください。
[図2]は、地上波で放送されているバラエティの中でも、超人気タレントを起用し高い視聴率を誇る番組群との比較です。ご覧のとおり、それらの番組と比較をしてみても圧倒的に『7.2 新しい別の窓』の放送は視聴者にとって楽しみな時間であり、その熱量がさらに番組に関する情報波及にまでつながっていることがわかります。
さらに驚くべきは、その情報波及は決して番組内容に関することだけにとどまらず、“番組中に見た広告のブランド”に対しても起こっているという事実です。実際に『7.2 新しい別の窓』を指定しご出稿いただいた美容オイルブランドについて調査をした結果が以下です。
[図3]のとおり、美容オイルブランドに関するSNS投稿率を約5倍にまで高め、その結果、番組視聴経験のあるユーザーで約15%、番組視聴経験がないユーザーでも3%にその投稿が届いています。
さらに、美容オイルブランドに関するSNS投稿数を時系列で表したのが以下の[図4]ですが、広告配信のある放送回で大きく向上しているのも興味深いデータです。
また、これは別の出稿ブランドの話ですが、“『7.2 新しい別の窓』への広告出稿に対するお礼の手紙”が視聴者からその企業の本社に直接届いたという報告をいただいたこともあります。つまり同番組への出稿は、出稿ブランドに対するエンゲージメントを高める効果があるということが言えます。
ではなぜ、ここまでのエンゲージメントの高まりが起こるのでしょうか?
もちろん、“3人の番組を支えてくれるブランド”ということ自体に価値があることは前提にありますが、さらに『7.2 新しい別の窓』という場所が、“同じタイミングで、同じファン同士で、コメントをし合いながら一緒に見ている”という「共視聴」意識を高める場所であることがエンゲージメントの高まりを後押ししていることを示唆するデータがあります。
ここでポイントになるのは、もともと強固な関係性を持つファン同士の間で「共視聴」の意識を強く感じやすい『7.2 新しい別の窓』という場所が、視聴中に目にする商品やサービスに対しての関心をも醸成しやすい空間になっている傾向が見られるということです。これは、リアルタイムで瞬間風速的に一体感のある視聴体験を体現できる「AbemaTV」の構造的特長ならではのことと言えるでしょう。
では、先ほどの美容オイルブランドの広告効果はどうだったのでしょうか?
『7.2 新しい別の窓』の特長である“出演者と視聴者の間にある強固な信頼関係”は効果に寄与しているのか? という分析も含めた形で、各指標のリフトアップ値を出してみました。
[図6]のとおり、『7.2 新しい別の窓』の特長である“出演者と視聴者の間にある強固な信頼関係”はブランドリフトに寄与していることがわかります。また、“美容オイルを普段使用していない人”に絞るとリフトアップ値はさらに大きく、新規エントリー層の取り込みにおいても高い効果を発揮するポテンシャルがあることが見てとれます。
また、以下の[図7]は、“「共視聴」意識が高く、SNS上で話題になりやすい”という『7.2 新しい別の窓』の特長についても効果に寄与しているのか? ということを分析したグラフです。
[図7]のとおり、“「共視聴」意識が高く、SNS上で話題になりやすい”という『7.2 新しい別の窓』の特長も、リフトアップ値のトップラインをさらに高く伸ばす効果があることがわかります。
余談ですが、『7.2 新しい別の窓』視聴者は一度気に入ったら繰り返し商品を購入・利用するという[図8]のようなデータもあるので、新規エントリー層の取り込みも含めて、一度使ってもらい気に入ってもらえれば、出演者の3人に対する熱量と同様に長く応援し続けてくれるロイヤルユーザーになるかもしれません。
いかがでしたでしょうか?
『7.2 新しい別の窓』のような視聴者の熱量が大きい番組は、タイアップのような大きな企画に限らずCM配信をするだけでも、深いファネル層における変化や情報拡散など高い効果が期待できます。
今回は『7.2 新しい別の窓』に関するご紹介でしたが、「アニメ・声優系」や「趣味・娯楽系」など他にもコアファンによる熱量の高い視聴空間が生まれている番組はありますので、ご興味をお持ちの際はぜひお問い合わせください。
調査機関:株式会社マクロミル
調査対象者:20-69歳女性
調査期間:2019年8月
サンプルサイズ:番組非視聴者n=630、番組視聴者n=141、広告非接触者n=620、広告接触者n=151